今夜はちょっとあったけえな

はー……おやすみだったのに、なんだかかえって疲れたあ。夜も烏と寝るとか言い出すし、もう。普段は山にいるんだぜ、別に寒くたって平気なんだからね。
大体烏も烏だっての。ご主人さま目の前にして旦那から餌もらってんじゃねえよほんと。くーくー甘えた声出しちゃって。
ま、懐かせるのはともかく、あんま食わせないでよ。肥えたら飛べねえし、そしたら烏も俺様も死んじまうかもしんないんだからさあ。戦場でも使うんだから、そいつ。

さて、と。ずいぶんおてがみ溜めたもんだね。
長い文は、って、烏に邪魔になるからってこと？　言っとくけどあれ、あんた抱えた俺様も連れて飛ぶんですけど。紙切れの二枚や三枚大したこっちゃねえよ。

で、おしのさんはずいぶん気がはええなあ。まだお嫁さんもらうあてもねえのにね。おまさちゃんちに赤ちゃん生まれたから、羨ましくなったかな。端午の節句にはおのこが欲しいとか言い出すよ、きっと。
でもまあ、おしのさんもいい年だしねえ。自分に子供がない分、あんたが子供みたいなもんなんだろ。なんだったら大将に話通して、お嫁さん探してもらえば？　おしのさん孝行してもいいと思うよ、世話になってんだし。

さてと、さっきお暇したばっかだけど、もっかいこれ届けに行きますか。
あ、烏は抱えて寝ないでよね！　お仕事あるから、夜明け前に飛ばすんだから。迎えに行ったときに抱えてたら、旦那も叩き起こすからね。無理矢理剥がして羽でも傷めちゃ事だ。

さすけ


そういやうぐいすが何だって？　声聞きてえなら鳴いてやるけど。
欲しいんなら今度、どっかで見付けてくるよ。昔十姉妹飼ってた鳥籠あるじゃない。あれどこにやったっけ。

佐助が

なにやら、もう帰ってくるらしい。
・・・・・・・・・
まぁ、よいか・・・

どうにも、烏に懐かれた様だ。
猫のようだと思った。

昼を、一緒に食えるだろうか。
久方ぶりであるし、しばらく待ってみようと思う。

真田幸村

ほけきょ……？

ちょっと何の謎掛けなのこれ！

もうまったくわかんないからとりあえずこれくくりつけて烏飛ばしてすぐに俺様も戻るよ。烏のほうが早いだろうけど、そう置かずに戻れるはずだから。
まあ何でもないんだろうけど、一応な……。

なんでもなきゃいいんだけどな。

さすけ

烏が

この寒いのに縁にいたので、一緒に眠った。

ここには、雪は積もっていない。
ほけきょとよく今日も鳴いている。
烏は、どうも頭をかかれるのが好きらしい。
くぅっと変わった声で鳴いた。

あまり長い文は、まずいかと思って、ほけきょとだけ書いて佐助に送った。

真田幸村

佐助へ

ほけきょ

幸村