いい加減

飯が冷めた。

幸村

もう夜か

結局一日寝込んだ……痛え。
だから、馬は、無理だって…！　二人で乗ったって揺れは同じだって…！　お馬さんが疲れて俺様が痛いだけだって…！　言ったのに…！

人の話を聞かねえお人だぜ、まったく……。

しかしこの文机に山と積んである書状は何なんだろうな。寝る前にはなかったんだけどな。……才蔵の野郎……。
まあしばらく偵察にも出らんねえし、おとなしく片付けますか。

……そういや旦那が夕餉は一緒に食おうとかなんとか言ってた気がするけど、いくらなんでももう済んだよな。寝込んでたとはいえすっぽかしちまったな。
ちょっと様子だけ見てくっかな。

今日で

今日で、休暇も仕舞いだ。
楽しいものであった。

骨接屋には、無茶をするなと言われた。優しくしてやれといわれたので、そうした。
はやくあれが元に戻るといいと思う。
それにしても、柔らかい骨なのだろう。まさか折れているとは思わなかった。
明日馬に乗るのは辛かろう、俺のに共に乗せようと思う。

皆に迷惑をかけた、きちんと礼を言わねばならない。


真田幸村

休暇も終わり

折れた折れたって旦那はうるさいけど折れてないよな、これ。骨接ぎの先生もひびって言ってたし。つうか折れてたらさすがの俺様も動けませんて。
でも折れたことにしとけば旦那がおとなしいみたいだし、しばらくそういうことにしとこっと。

いやあすっかりほんとの湯治になっちまった。ていうか俺様そんなに骨やわくないのに旦那の馬鹿力ったらねえよ。
いや……俺だってやろうと思えば骨の一本や二本折ってみせるけど、抱き潰すか普通。無理だって。大将くらいのお人ならわかんないでもないけど真田の旦那……見た目は細いのにな……なんなのあのひと、中になにつまってんの一体。あれ全部筋肉か。

でもまあなんか山ほど謝ってもらったし気持ち悪いくらいやさしいしまあいいか。
でもほんと気持ち悪いのでそろそろ普通の旦那に戻ってもらいたいよ。
結局よくわかんないままだなあ、これ。未だに頭撫でられるんだぜ……どうしたのほんと……。

とりあえず休暇も終わるし、明日には上田だな。馬で帰るとあばらが痛えなあ。
俺だけ飛んで帰ろうかな……旦那見ながら飛んでけばいいかな。うん。

ぎゅうぎゅうしたら

佐助の骨が折れた。
・・・・・・骨接屋に行っている間に桃を買ってきてやろうと思ったら、丁度佐助が帰ってきて怒られた。
よく考えたら桃の季節ではなかった。
佐助が笑うようになった。よかった。

三月十一日
真田幸村