花街にでも行こうかなあ

なんか楽しいことがいっこもない……。


真田の旦那の部屋の警備、才蔵に任せてたんだけど深夜になってから呼んでるらしいってお使いが来た。なんでもっと早く言わないの才蔵の奴……いやまあ、八つ当たりですけど！

当然旦那寝ちゃってたから書き置きだけ残して来たけど、でも今日はあのひと領内の見回りに出てんだよね。ちょっと帰って来るの遅いな。……何の用だったんだろ。
………今日も旦那口きいてくれなかったなあ。姿は見るんだけどなあ。



そういや烏がこのところ餌たかりに来ないな。
どうしたんだろ。死んだかな……。

書き置き

呼んでるって言うから来てみたけどもう寝ちゃったみたいだから、書き置きだけ。遅くなってすみません。屋敷の方の警備に回ってた。
もし何かご用でしたら明日改めて呼んでくれれば来るからね。

さすけ

佐助へ

また、行こうな

三月十五日
幸村

三日

三月十六日
お館様にお詫びと感謝の意を伝えに行く
お館様はやはりすばらしい
忍隊ものたちや家人に一通り土産を配り終わる
雨であったので、鍛錬はできなかった。書状の類を片付ける
佐助への文をなくした
烏が持っていた、雨に濡れて渡せないのでとりあえずしまった
なんだか、佐助が泣きそうな顔をしていたそういえば今日一度も口をきいていない
なにかあったのだろうか

三月十七日
とりあえず晴れているので鍛錬に励んだ
隊の編成を少々見直すことになった

三月十八日
朝目が覚めたら烏が隣にいた
かわいいと思った
庭に出してやったら笑ったように思った
佐助は、笑わぬなと思った
烏、と呼んだら笑ったようにやはり思った
佐助を今夜呼ぼう

今日で三日

旦那が口きいてくれない………



飯すっぽかしたって言っても不可抗力なのに。謝ったし。
そりゃ謝って済むもんでもないのかもしんないけど、でも最初はそんなに怒ってなかったと思うんだけど……なんで怒ってんだろ……

あ、夜警の時間だ。
……旦那の部屋の警備、他のに任せようかな……。