おしのさんごめんね

結局天昇裏から呼び出されたときしか口きいてくれなかった。

目さめたらとっくに午だったみたいだけど、ずっと隣の部屋に旦那いるし、勝手に自分の部屋戻ったりしたらまた怒りそうだから黙って寝てたけどさー……こういう怒り方してる旦那って珍しいな。
……ほんと俺様なにしたんだろ。飯すっぽかした……のを怒ってんなら、こういう怒り方しないよな。

まあ別に閉じ込められてるわけでもねえし飯もおしのさん持って来てくれたし。
……なんか病人扱いなのは気になるんですけど。まあ、あばら治ってねえしな。……と思うことにする。

ところで仕事どうしたらいいの。天井裏越しに訊きに来た奴に指示しようとしたら、旦那槍持って急に入ってくんだもん。俺様びっくりだよ！　上にいたやつなんか縮み上がったっての！　すっげえおっかねえよ！
すぐなんだ真田の者かってぶつぶつ言って出てったけどさー……くせ者だとでも思ったのかね。
ていうかくせ者だったとしても俺様がいるんだから問題ないでしょうが。
………俺そんなに信用ねえのかな。

さっき才蔵が来て旦那となんか話してったみたいだけど、あいつがこっち来ずに帰ったってことは、ちゃんと俺も納得出来る形で話はついたんだろうな。じゃなきゃ才蔵なら俺に確認しに来るしな……あいつそういうとこは信用できるし。できた副長だぜまったく。

はあ……。
なんか俺様って、役立たずの気がしてきたな………。

三月二十日

一日書状に目を通した。
おしのが茶を持ってきていい加減になさいまし、と言った。
うまい茶だった。

幸村

烏は生きてたけど

……………。


やっぱりすっげえ怒ってる………。


今夜も部屋の警備は別の奴のほうがいいのかな……いやでも俺のほうがいいのか。他の奴が怒られてもな。俺に怒ってんだし。
……なんかまたあばら痛くなってきた。

娘に

茶店の娘に、今日はお一人ですね、と言われた。
一人ではなく二人だと言ったら、それは烏ですと笑われた。
そういえば、この店には佐助とよく来ていたように思う。
よく笑う娘だった。
お土産にと団子を貰った。
烏は、やけに最近俺についてくる。
これでは、佐助は寂しかろうと思う。
佐助、と思う。
あれは、昨夜は俺の部屋の警備だった筈だ。
書置きだけだった。
呼べば今夜来るらしい。
とりあえず、烏に文を渡した。
もう少しのんびりしてから帰ろう。

幸村

・・・・・・・

何故屋敷の警備に回っているのだ

幸村