佐助へ

元気か？
佐助、部屋から出てこぬのか？
なぁ、梅が散るぞ。

三月二十五日

佐助から、手紙が届いた。
手紙を書いた。
才蔵が渡してくれるそうだ。

幸村

屯所にいる

真田の旦那へ

自室にはいません。
なにか用があるときは隊のやつに言伝てくれれば行くから。

さすけ

息するとあばら痛い

偵察のお仕事誰に行かすかって話してたから、俺様が行こうかーて言ったら女の子たちにこぞって長は駄目って言われちゃった……男どもはそっぽ向いてるし。助けろよお前ら。俺様長ですよ。

なんかほんと最近閨のお仕事多いんだけど……こんな頻繁ってそうないのになあ。ぎりぎり胴絞められるからあばら痛いし治んねーし、そのうち折れるぞほんとに……。
せっかく隠れて護衛してても、あんな声で呼ばれちゃ出てかないわけ行かねえし……ちょう怖い。なにあの低音。俺様泣きそう。それに呼ばれて出てっても他は何も言わないし……
無表情で黙って頭撫でられてもな……怖い。ほんとに。なにしたいんだあの人。

あばらに湿布しようと思って朝に屯所に戻ったら、才蔵に真面目な顔で今日は寝てろって言われた。
あまつさえ女の子たちに屯所の寝間に押し込められた。
なんか見張りついてるんですけど俺様なんかしたのちょっと……
もー旦那も隊の連中もなんなの一体。俺なんも悪いことしてねえよ。心当たりねえよ。

でもまあしょうがないからちょっと寝ますか。



あ、つうか、風来坊の声してるな。
まだいる気なのあいつ……。

知らぬ

朝も早く
佐助がだるそうであったので、手を引いた。
最近佐助は、あまり笑わぬ。
ふと、食んでみたくなって顔を寄せたら、やめろと言われた。
髪を引けば痛いと言う。
ぎゅうとした。

幸村