美味そうな月だ

あのな、さすけ、好いておるぞ・・・・。
うむ・・・。
しかし、眠そうだなお前、寝ておらぬのか？こんなところでは眠りにくいだろうに布団もあるぞ？

いい加減書面を書かねばと文机に向かった。
佐助を抱き込んで書いていたら墨だらけになった。佐助は、そのまま眠ってしまった。
髪が、酷い。おしのにでもそろえてもらったほうがよいだろうか。
よいにおいがする。


かすが殿がもうよいだろうと帰って行った。
軍神殿に色々と伺ってきて下さるそうである。
帰りがけ、軍神殿から預かったとかすが殿が酒を置いていった。
佐助が、変なにおいしてやだーーと言うので、しまっておくことにした。

夜中に目が覚めた

あったけえなと思ったら旦那が隣で寝てる。

傷はもう大分いいみたいだな。食えるだけ食ってたというか食わされてたからその分体力は大分付いて来てるみたいだ。ただやっぱり肉は落ちたな。
まあ、後遺症らしいもんもないみたいだし、もう少しまともに動けるようになったら鍛錬してけばそのうち仕事は出来るようになんだろ。
にしても髪、がたがただなあ、はは。旦那ってば不器用さんだなあ。

旦那見ても起きる気配はない。ちょっと触ってみた。
最近様子がおかしいのは溜まってるからかな。でもま、狐憑きなんか抱きたくねえよなあ。それとも俺だからかな……ずっとそうだもんな。
ま、それ以外なら狐憑いてるほうが楽しそうだけどさ。ほんと、今ひまで良かったよ。最近旦那、仕事してねえだろうしなあ、こんなに付きっきりじゃ。

お稲荷さんか何か知らねえけど、もうしばらくくっついててくれたほうがいいかな。楽しそうな旦那見てるほうが俺様も楽しいし。ずっと狐のままでいるわけにゃいかねえけどな。才蔵にぶっ殺されるわ、ほんと。
………つうか、軍神さんマジで狐呼ぶとかもー……絶対あのお方の仕業だろこれ。んもー……


邸内に妙な様子はなし、と。
そろそろ夜が明けるな。戻って寝よ。

服を着ろ！！

洗えぬだろう！動くな！！
だ、抱きつくなといっているだろう・・・・・・っ。わ、分かった、水が苦手なのは知っておる。このままでよい・・・。　
ひゃ、百数えるのだっ


結局、風呂にいれてやることになった。
身体を洗っていたら痛いと騒ぐので、ゆるく洗うとくすぐったいとじっとしておらぬ。
湯船に入れたところで抱きつかれた・・・・・・・・。
満足に寝間着も着ずに部屋に戻ろうとするので追いかけてちゃんとさせた。
濡れた髪を乾かしてやる。そういえば、切ってやろうと思っていたのだと思って、少し切った。あまり上手くいかなかった。
かすが殿からさすけにと梨を頂いた。つめたいーと言って喜んでいた。


丑三つ時に目が覚めた。
口を吸ったが起きなかった。
秋の虫が鳴いている。もう秋であるなと思った。

しぶがき

だんなが柿みてたからあれまだかたくておいしくないよって言ったらわかるのかってびっくりされた。わかるよーだっておいしくないにおいしてるもん！
おいしくなったらとってあげるねって約束した。おれさましのびだからあんなのすぐとれるよ！

くっついてるとときどきだんながちょっと離れてろって言う。ときどきすぐ戻る！て言っておへや出てくけど、どうしたんだろ。おなかいたいのかな。

おさんぽからもどったら今日はふろだ！てかすがが待ってた。やだ！おふろやだ！
逃げたけどすぐつかまった。

おみずやだー！　ていったのにかすがぜんぜん聞いてくれない！
だんな呼ばれた。だんなにふろにいっしょに入ってやれって言ってる。だんながなんか慌ててる。

……いまのうちに逃げよ。

鍛練が足りぬ…っ

は、離れろ！！
あ……や…い、いやっそのっ
さ、騒ぐなっ、いや、嫌いとかではなくっ、か、顔を近付けるな、ね、熱はない………。
そうか……看病してくれるか…。だから熱はないと言っているだろう……くっ、口を舐めるなっ
抱っこは、もう少ししたらしてやるから、飯を食え。



も、もう少し待て！！




散歩に行きたいと言うので少し外に出た。
熱は引いているが、無理をさせない程度に出た。柿が生っているのを見た。佐助に食わせたいと思った。