蒸し暑い

なんだかぎゅうとしても余り佐助がうれしそうでない。
うれしくないかと聞いたら、そんなことないよ！！と言った。
けれど笑わぬな、と思う。
へらへらとしておもしろくない。
じいと見ていたら酷く不安そうな顔になった。
そういえば今日甘夏をもらったのだった。夜も遅いが剥くか？と聞く。
身体にいいと聞いた。
もしかしたら元気になるやも知れぬ。

才蔵と手合わせ

食いもん調整しろって言われた…うーんだよね〜筋肉落ちたよね〜。肉がやわい。
旦那は変わってないって言ってたけど、あれだけの日数遊んでりゃあ、からだ鈍るよ。しばらく鍛錬がんばろー。



結局帰ってきちゃった……
里長も女中もいるってのに、いきなり抱きしめてきて「帰ろう！」とか言うんだもん…みんなぎょっとしてたじゃねえの。あんなの見せられちゃ、強制送還だよ。

真田の旦那、俺のどこ見て優秀だって思ってくれてんだろ。このところまったく駄目駄目なのになあ。
まあ、それは旦那のせいじゃないけどさ……信頼に応えられてない俺が悪いんだし。

けど、忍びだって言いながら飯も一緒じゃなきゃやだって言うし、閨にも呼ぶし……
嫌なら言えっていわれても、嫌って言ったらまた極端に走るでしょーが。旦那に我慢させるのもうやだよ。あんな顔されたくないよ。

俺ってほんと、なんなんだろう。才蔵と話があるからって出てきたけど、用が済んだら戻れって言うし……茶でも呑もう、とかさあ。
旦那がうれしそうなのはいいけど、なんか……なんで俺としたいのかな。
でも下手なこと言ったら、せっかくうれしそうなのにまた怒らせるかもな……

今夜も呼ばれるのかなあ。
主と飯食ってちょこっと鍛錬して主と寝てとか、そんなの忍びじゃねえよね……

佐助！

遅かったではないか！
待ちくたびれた！
何をごちゃごちゃ言っておるのだ、あんなものは捨てたぞ？
な、帰ろう。
里長殿にもよろしく頼んだ故、気にするな。よい御方だな。
今から帰れば、夕食には帰りつこう。

なんだ………？耳元でぼそぼそと。
…………全く、訳の分からぬことを言うな。
お前にかなう忍びなどおらぬ。

！？

な、な、な、なんで旦那がいるの…！？

え、じ、辞表預けた時点で既に上田発ってたとか…？　何か里に用事…？　そんな話は聞いてなかったけど……
お、俺様ほとんど寄り道せずに来たのに……嘘だろ。

あー……でもほんとなんでいるんだよ。連れ戻しに来たとか……？
でもさあ、もう、ほんと、なんかいろいろ無理だって……もっといい忍びつけなよ……



って、あ！　ちょ、呼びに行くな馬鹿！
うわっ……ちょ、逃げ、たい……

遅いな

佐助は、未だ来ぬ。
里長が一先ずお待ちをと部屋に通された。
佐助が着いたら知らせてくれるとのことだ。
別に俺がかまわぬと言っておるのだからよいではないか・・・・・。
未だ来ぬな・・・・。