わたくしの

わたくしのつるぎも　たいそう　かわいいのですよ　　さなだの。

ものの見事に病人

上杉さんちにお邪魔したら風来坊がもこもこに着込んでへろへろしてた。すげえ鼻声。
からだもぼきぼきに凝ってたから揉んであげたらすげえ音するし。捻挫と打撲治ってからちゃんとほぐさなかったろ。しょうがねえなあ。
かすがが仕事だって屯所に行っちゃったから、薬草煎じて飲ましてやった。あいつちゃんと世話できてたの？　へえ……まあ、美人に世話してもらって良かったじゃないの。


幸村はどうだとかやさしいかとか、なんでそんな気にするのよ、あんたも。
旦那はねえ、やさしいよー気持ち悪いくらい。はは、嘘だよ、冗談。普通にやさしいよ。もったいないよね。

幸村はあんたが好きなんだよって、また言ってるし……旦那にも言われたけど……え、信じてないというか、だって、真田の旦那だよ。なんで俺を好きなのよ。いや、忍びだからとかってことじゃなくてさ……
だって、なら、旦那が飽きたらどうするの。好きな子とかできたら旦那のことだもん。なんかけりつけたがるに決まってるよ。
そしたら俺どうすんの？

は？　こんなこと旦那に言うわけないでしょ。そんなの俺のわがままなんだし。別に側近じゃなくても真田忍びとしてお仕えはできるし。
あーでも、目障りだなとか思われたらいやだな。はは、そんなふうに思うひとじゃないけどね……多分……


え？　旦那からおてがみの返事？　何、あんた、懲りずに旦那におてがみなんか出したの？
……いや、いいけど。あんたがいいなら。つか、上田晴れてたのかよ……戻ればよかった。

じゃ、俺様、軍神さんにこないだのお礼言ってくるわ。
ゆっくり寝てよ。薬湯飲んだって、安静にしてなきゃ熱なんか下がんねえからね。

慶次殿へ

如何お過ごしであろうか？
某は、特に変わりもない・・・・。
怪我のほどは心配には及ばぬゆえ安心召されよ。慶次殿もお体にお気をつけられよ。大事な御身であろう。

佐助のことであるが、あれは変わりなく過ごしている。心配には及ばぬゆえ、お気になさるな。
お気遣いいただき実にありがたく存じ上げる。


真田源次郎幸村

夜も更けた

涼しく良い日だった。
前田殿から手紙が届いた。佐助のことばかりが書いてあった。よく分からぬと思ったが返事を書いた。軍神殿のところに滞在しているらしく、上杉の忍が来た。
佐助が狐になった折には軍神殿にもご迷惑を・・・と思ったので改めて手紙を届けてもらった。

星が明るい。
そういえば今日は佐助は帰ってこなかったな・・・・。
寂しい思いをしておらぬだろうか・・・・・。






しかし、優しくしろ、優しくしろと・・・・・

雨続き

暑い暑いって言ってたら今日はそうでもないって言われた。俺様だけ？　なんだろう。旦那の熱に当てられたかなーなんて…ははは。
ちょっとしゃれにならねえ気がする。

武田領の見回り三日目。特に変わりはないけどかすが見掛けた。風来坊がまだいるらしい。怪我は大体治ったけど風邪引き込んだとかで薬草探しに来てたみたいだ。
別にかすががすることないんじゃない？　て言ったけど私がしたいんだ！　てなんか怒られた。え、ええー……何なの……この子がこういうこと言うの珍しい。
ちょっと妬けちゃうなあって言ったら殴られた……まあ風来坊、やさしいしなあ。ほだされたかなあ。かすがけっこう簡単なとこあるしなあ。そういうとこ女よね。

ちょっと話してたら雨がすっげー酷くなって来て周り見えないくらいになった。空も真っ黒だ。まだ夕方なのに暗いし。
かすがと雨宿りしてるんだけど止まないなあ。ここからなら春日山のほうが全然近いってかすがが言ってる。
でも帰らないと旦那が心配するんじゃねえかな。大丈夫かな。まあ仕事に出てきてるんだし、一日くらい帰らなくても普通だよ…な……
情けない顔をするな！てかすがに蹴られた。何すんのもー。

……ほんと止まないなあ。これ夜中まで止まなそうだなあ……