日暮れも早くなった

 
日の落ちるのが早くなったように感じる。
勘助殿達も流石に飽きられたのか郭へと誘われることもなくなった。
もうそろそろ焼き芋の季節かと思う。
佐助は芋は好きであったろうか。沢山掘ってみたがよくわからぬ。
最近佐助と眠っていない。呼んでもあまり嬉しそうにしなくなった。

芋を掘った帰り道熟れて落ちた柿を見た。
そういえば、佐助に食わせたいと思っていたのだったと思い出した。
冬が来る前に戦があるだろう。

鳥が低く飛んでる

あっついなー。かすがの顔見がてら上杉にでも行こうかな。
あそこ山だからっていうより、軍神いるから涼しい気がするな。
でも午後からまた雨降りそうだな。明日はまたちょっと涼しいのかな。
こんなに涼しいとお百姓さんが困るよなあ……


旦那はまた留守にしてる。しばらく前からちょくちょく夜遊びに誘われてるみたいで、断らずに出てくようになった。
ま、旦那もお年頃ってことかな。いーい匂いさせて戻ってくんだよな。
いいことだよね。いつまでも女苦手なんて一人前の男としてはどうなのって話だし。


…………。


……俺様もかすがの顔見てこようかな。

紫陽花が咲き出した

書状を持って勘助殿がいらっしゃった。すぐに返事をと言ったが急ぐような用件ではないから後で送ってくれればよいと言う。

土産に、と紫陽花を渡していた。
そういえば佐助が紫陽花の咲いている辺りにこの間いたな、と思う。
あれは、相変わらずよく分からぬ。傍へと言っても釈然とせぬ顔をしておる。今日は何処へ行っているのだろう。
勘助殿がすっきりとしない顔だと仰る。今日の勘助殿の笑い方は余り好きではない。


廓にでも行かぬかと誘われた。

梅雨空

まだ本格的に梅雨入りってわけじゃなさそうだけど、ここ二、三日ちょっとお天気悪い。 やだなあ仕事に出るとびしょ濡れだぜ……

春先からずーっと旦那があまり機嫌がよくない。機嫌いいときもあるけど機嫌悪い日のほうが多いな。なんだろ……俺様なんかしたっけ……？
単に戦がなくってくさくさしてるだけかな。


風来坊が持っててくれた旦那の歯、軍神のお札と一緒にお守りに入れて首から下げてるけどお札のほうがちょっとへたってきたなあ。怖えなこれ。今度春日山にお邪魔して新しいの貰おうかなー……もうくれないかなー……
つか軍神のせいなんだからむしろこの際サッパリ祓ってもらってもいいよな、狐。

とか思ってたら昨夜は久し振りに旦那に狐にはもうならんのかって言われた。……狐が気に入ってんのかな。だから機嫌悪いのか……？

知ったことか

最近、佐助が気も漫ろである。
ぎゅうとしてもうんうんと気のない素振りであるし、気が付くと隣でため息を吐いている。始めはどうかしたのかと尋ねたが何も言わぬので腹が立ってきた。


と思うとやたらと今日は機嫌がよい、まぁいいかと嬉しいままに話をしていたら前田殿が来た。
何をしに参ったのだと聞いていたが、あれ佐助に聞いてないの等という。風に靡いてふわふわと髪が邪魔だ燃してやろうかと思った。

ひどく嬉しそうに佐助が屋敷から駆け出して自室に連れていった。
なんなのだ！待っていたなど！知るか！


腹が立つ庭が壊れた。